AOCブルーチーズ特集 研究科第6 回前篇

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今日の研究科ではフランスAOCブルーチーズを特集しました。

フランスのAOCチーズ46種類の中でFromage a pate persillees(パセリ状の生地のチーズ)とよばれる青カビタイプは
ロックフォールをはじめ、ブルーデコース、ブルードーヴェルニュ、フルムダンベール、フルムドモンブリゾン、ブルードジェクス、ブルーデュヴェルコールサスナージュの7種。

これらのチーズの産地は険しい山間部であり、中には低温多湿で冷涼な空気が循環している自然の洞窟が存在しており、ブルーチーズの製造条件を備えています。

青カビの種類はペニシリウム・ロックフォルティやペニシリウム・グロクム。
二つの青カビは実は同じ菌株で名前が違うだけだと教わりましたが、何故こんな面倒なことをするのかしら。統一してほしいものですね。

ペニシリウムロックフォルティは9㎏のライ麦パンにカビの種を植え付けて洞窟内で増殖させて何十億というカビの胞子の中から優秀なカビだけを取り出します。
1個のパンから2.5㎏のカビができ、大匙1~2でなんと400個のロックフォールができるというから、このカビパワーのすごさがわかりますね。

ロックフォールが製造されているルエルグ地方のロックフォール・シュル・スールゾン村に行ったのは2007年のことでした。牧場、工場、そして洞窟と念願の見学ができました。

牧場内で最も印象深かったのは飼料に対する絶対の自信でした。
飼料は全て自家製で、冬は刈り取った牧草を乾燥させたものを与えています。
積み上げられた牧草を引き抜いて匂いをかいでみましたが、本当になんとも心地よい素晴らしい香りがして、こんな草を食べるからおいしいミルクが出るのだと実感しました。

ちょうど、福島原発の影響で稲藁が汚染されているという痛ましいニュースが流れていますが、どんなものを食べるかがいかに重要なことかをロックフォール村で再認識したものでした。

牧場にはマスコットの黒いロバがいました。
羊を統率するのは牧羊犬かと思いきや、元々はロバがその役目をしていたとのことです。犬はともすれば羊を傷つけてしまうこともあるそうですが、ロバはおとなしいのでそんなことはないと話していました。

ソシエテ社の洞窟見学では撮影禁止だったので記憶をたどってみると、
まるでアミューズメントパークのようにきちんと整備され音響効果までついていたのには苦笑してしまいましたが、私たちのようなチーズ専門家ではなく一般人を相手にするには多少の演出は必要なのでしょう。

ここでも驚いたことが一つ。
ロックフォールは洞窟内で2か月以上熟成させると、どの本にも書いていますが、実は洞窟内では最高14日間まで熟成させ、後は別のカーヴに移して熟成させるとガイドの説明がありました。洞窟内では青カビの増殖がすごいので2週間以上は置けないということでした。

今日はフルムドモンブリゾンがどうしても手にはいらなかったので、7種のうちの6種を試食しました。

写真の上から左、右、左、右と説明していきます。

1. ブルードーヴェルニュ
産地:オーヴェルニュ地方
牛乳製でほとんどが殺菌乳。19世紀中頃にロックフォールをお手本に作ったのが始まりといわれます。今日のものは表面にうっすらとリネンス菌がまとわりついていて、それをふきとって食べてみました。苦味があるかなと想像したのですが、全く予想を裏切られ、クリーミーな舌触り、ほのかな甘みとキノコ臭、青カビの心地よい刺激に最初からノックアウトされてしまいました。
これは価格もロックフォールのほぼ半額なのにこのおいしさはすごいです。

2. フルムダンベール
産地:オーヴェルニュ地方
オーヴェルニュを代表するブルーチーズの一つ。背の高い円筒形で表皮が少し固めで弾力のある組織が特徴。ブルードーヴェルニュに比べると塩分がよりしっかりとあり、美しいパセリ状に広がる青カビの刺激は思ったほど強くなく、ブルー初心者にはおすすめです。

3. ブルードジェクス
産地:フランシュ・コンテ地方
コンテやモルビエを作っている地域で作られるブルー。表皮にはGEXという文字が刻印されています。カビが細かいゴマ状に広がっています。表皮は固くうっすらと白カビがついています。まず、そのナッツの香ばしい香りにうっとりとしました。塩味もマイルドで青カビの刺激も穏やかです。チーズとしての味わいでは完璧な調和がとれています。
今まで、青カビ好きとしてはブルーの刺激が少なくちょっと物足りなく感じていましたが、今回のものを食べてジェクスの印象が変わりました。

4. ブルーデュヴェルコールサスナージュ
産地:ローヌアルプ地方
自然な白カビが表皮についている優しい味わいのブルーチーズで、ジェクスと同じく香ばしいナッツ臭と青カビの穏やかな刺激がとても心地良く、ブルーチーズというよりはセミハードタイプの山のチーズという印象。

今回の特集での一番の収穫はオーヴェルニュやミディピレネーのブルーチーズとは一線を画すこれら二つのチーズの奥ゆかしい美味しさを再認識したことでした。

5. ブルーデコース
産地:ミディピレネー地方
ロックフォールの牛乳版といわれ、どうしてもロックフォールの陰に隠れていまいがちで近年衰退の危機にひんしているといわれていますが、ほどよい塩味と甘味、トーストを焼いたような香り、メントールの爽やかさも感じます。

6. ロックフォール
産地:ミディピレネー地方
いよいよ真打ち登場!貴婦人のようなブルーチーズは世界中から愛されていますね。
今日のチーズはロックフォール全生産量のたった0.6%しか作られないイブコンブ産。日本ではイブコンブとして流通していますが、現地ではVieux Berger(羊飼いのおじいさん)という名前で親しまれています。
華やかな香り、羊乳のコクのある味わい、トースト香、甘み、青カビの刺激、そのどれもがすべてバランスよく、圧倒的な存在感を放っています。だれでも、この貴婦人の前ではひれ伏してしまいたくなりますね。

せっかくなので、ブルーデコースとロックフォールのブラインドテイスティングをやってみました。
ロクフォールと他のブルーチーズを見分けるポイントは三つあります。
一つは色。羊乳で作られるロックフォールは他の牛乳製に比べて色がより白いのです。二つ目は塩分。ロックフォールはブルーチーズの中で一番塩分量が高いのです。青カビが順調に増殖するためには雑菌の繁殖を抑えなければなりません。そのために塩分を強くするので、ブルーチーズは他のチーズよりしょっぱいのです。三つ目は表皮近くにゴーティーフレーバーを感じること。羊にも山羊臭はあり特に表皮の部分に顕著に表れます。

見た目がほとんど同じなので味わいで判断するのですが、6種類もブルーチーズを試食した後ではもう舌がマヒしていて塩分を感じ取ることもできませんでした。それで、最後のゴーティーフレーバーの有無で判断すると、全員○!

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AOCブルーチーズ特集 研究科第6 回前篇への1件のコメント

  1. アバター セレビシエ
    セレビシエ コメント投稿者

    う?っん
    ブルー好きにはこらえられませんね!!!(^Q^)♪

    ロゼワインが合うんですね、なんだが意外な感じ。