• 夏のしつらい

    自宅で教室をしているので
    季節ごとに部屋のデコレーションを替えています。
    怠け者の私には教室があることで部屋をきれいに維持することができています

    蛸唐草柄の手拭いをテーブルセンターにしました
    まん中には稲嶺盛吉さんのブルーの琉球ガラスに白い花を浮かべて
    花模様のガラスの箸置きを花止めに

    ギャラリー象のガラスの器にはビー玉をつめて

    可愛い金魚も泳いでいます(これ百均で買ったものです)

    母の形見の城間栄喜さんの紅型の着物の端切れをタペストリーにしました
    城間栄喜さんは沖縄戦で消失しかけた紅型の復興に尽力した最大の功労者です
    細長いガラスのキャンドルスタンドにはブルーのキャンドル

    和室も模様替え

    これは紅型のプリント1000円くらいで買えます
    無印の透明の額に入れたら本物みたいでしょう?

    パパイヤ柄の琉球漆器の菓子入れ この朱色が大好きです

    白地に墨色で大胆にデザインされた花器 ひとめぼれでした

    床の間の泡盛の甕は新築祝いにいただいたものなので20年経過しています
    でも、夫がめちゃくちゃな仕次ぎをしたおかげでとうとうカビ臭が発生
    琉球泡盛倶楽部の大先輩に相談したら全部別の容器に移すこと
    カビが生えた甕はもう二度と使えないと教えてくださいました
    ところが、不思議なことにビンに移した泡盛のカビ臭が消えたのです
    もちろん、その泡盛は20年古酒なのでおいしくいただきました

    玄関の壁には池田満寿男の絵(実はカレンダーの切り抜き)
    この池田満寿男のブルーは地中海の海の色を思わせます
    籠にのっているのは夏野菜の形のキャンドル
    ガラスの器はかなり前に豊島ルリ子さんの工房で格安で購入しました

    階段の踊り場の壁には藍染のタペストリー
    もう10数年愛用しているので藍色が灰色に変色してしまったけれど
    これはこれで素敵でしょ


  • AOCシェーブル特集 研究科第5回 後篇

    フランスにおけるシェーブルの一大産地はロワール河流域です。

    8世紀にこの地のポワティエでフランス国王シャルル・マルテル率いる
    フランス軍がイスラム教徒のサラセン軍を奇跡的に撃破しました。

    奇跡的というのは、当時のサラセン帝国は世界最強の騎馬軍団を誇り、
    フランスなんて文化的に遅れた国だったのです。鐙(あぶみ)の存在を
    フランス軍はその戦いで初めて知ったくらいですから。

    では何故、世界最強のサラセン軍を撃退できたかというと、
    いよいよ明日は一大決戦という時に、サラセン軍が突然退却してしまったのです。
    サラセン軍の最高司令官が急死したためでした。

    司令官を失ったサラセン軍は命からがらイベリア半島に引き返すのですが、
    その時に大量の山羊とチーズ職人を置いてけぼりにしました。
    当時の戦争は食料も自給自足しながらのんびりとしたものだったので、
    山羊を連れ、山羊のチーズを作りながら兵糧を調達していました。
    でも、
    逃げるのに山羊まで連れて帰るわけにはいきませんよね。
    結果、残された大量の山羊とチーズ職人は土地の人にシェーブルの作り方を
    伝えながら、この地に根をおろしたのです。

    この地方を代表するシャビシュー・デュ・ポワトゥ(chabichou de poitou) の
    chabi はアラブ語のchebli(山羊)からきていて、サラセン軍の影響が色濃く
    残されていることを物語っています。

    フランスAOCのシェーブル14種のうち、ロワール河流域で製造されるものは
    6種類にのぼります。
    (シャビシュー・デュ・ポワトゥ、クロタン・ド・シャビニョル、プーリニィ・サンピエール、サントモール・ド・トゥーレーヌ、セル・シュール・シェール、ヴァランセ)

    山羊は牛と違い、どんな過酷な環境でも生きていけます。
    険しい山岳地帯や乾燥した草木もまばらな土地、ごつごつした岩だらけの土地でも
    木の根っこをかじってでもたくましく成長します。

    前篇で、終戦直後の沖縄に山羊を贈ったという話をしました。
    乳量が10倍もある牛ではなく何故山羊なのか。
    戦後の荒廃した土地で生きていけるのは山羊だったからでしょうね。

    話をAOCシェーブルに戻しますと、
    ロワール河流域以外のシェーブルは、ペラルドン(ラングドック)、ロカマドール
    (ケルシー)、シュヴロタン(サヴォア)、ピコドン(ローヌ)、バノン
    (プロヴァンス)、マコネ(ブルゴーニュ)、リゴット・ド・コンドリュー
    (ローヌ・アルプ)、シャロレ(ブルゴーニュ)

    シャロレは2010年にAOCの仲間入りを果たしたシェーブルですが、
    シャロレは高級食肉としてブルゴーニュを代表する食材として有名です。
    ブルゴーニュの道路の両脇には、大きな灰色のシャロレ牛の看板が立っており、
    「おいしいシャロレを召し上がれ!」と観光客を誘っています。

    ですから、シャロレというと、牛の品種、そして、山羊乳のチーズという
    二つの意味があります。

    今回の試食は7種。

    シャビシュー・デュ・ポワトゥ
    産地:ポワトゥ・シャラント地方
    表皮は薄く薄茶を帯びた白で、中身は白くきめ細かくコンパクト
    酸味、塩味のバランスが程良い
    *ポワトゥ・シャラント地方はフランスの80%の山羊を飼育している一大シェーブル産地。

    プーリニィ・サン・ピエール
    産地:ベリー地方
    ピラミッドまたはエッフェル塔と呼ばれる独特の形状。表皮はガマ肌のように
    ゴツゴツしている。シャビシュー・デュ・ポワトゥに比べるとより酸味と塩味、
    コクが際立ちインパクトが強い。(おいしい!)

    クロタン・ド・シャヴィニョル
    産地:ベリー地方(サンセールの中のシャヴィニョル村)
    小さな太鼓型。コンパクトな組織でホクホクとした食感。爽やかな酸味とナッツのようなコク。

    ピコドン
    産地:ドーフィネ地方
    中世プロヴァンス語のオック語で辛いpiquier(辛い)から。
    熟成させたものはかなり刺激的な味わいで名前通りなのですが、これは比較的
    若い熟成で、ゴーティーフレーバーをほとんど感じさせない。
    白カビチーズのようなマッシュルームの香りと、穏やかな酸味とミルクの甘い味わいでとても上品。

    リゴット・ド・コンドリュー
    産地:リヨネ地方
    優しい酸味とヘーゼルナッツのようなコク。これならばシェーブル初心者にも
    自信を持ってお勧めできる一品です。

    マコネ
    産地:ブルゴーニュ地方
    小さな丸い台形で自然の白カビ、優しい甘みとしっかりした酸味の調和が
    素晴らしい。今回のものは微かにスモーク臭を感じましたが、気のせいでしょうか。
    ブルゴーニュのブドウ農家が自家用に作っていたものです。白ワインのマコネと
    合わせたら最高のマリアージュでしょうね。

    ロカマドール
    産地:ケルシー地方
    メダル型とよばれる薄い小さな円盤形。優しい酸味とナッツのコク、ミルクの甘み
    そのすべてがバランスよく、初めてシェーブルをおいしいと思ったのがこれ。
    大好きなシェーブルです。

    今日のチーズに合わせるワイン
    Domaine Trotereau Quincy 2008 ドメーヌ・トロテロー・カンシー

    ブドウ品種:ソーヴィニョンブラン
    産地:ロワール地方カンシー
    特徴:一部貴腐ブドウが使われているが甘口ではない。リンゴや蜜の甘く香ばしい香り。ドライハーブのニュアンスとがっしりしたミネラル感。

    シェーブルと合わせるワインは基本的にしっかりした酸味とハーブのニュアンスのあるソーヴィニョンブランがよいようです。
    また、酸味と甘みのバランスが程良いヴーヴレィも超お勧め。
    熟成したシェーブルは泡盛の古酒(クースと発音してね)とも花マル!

    本日のサラダはローストクロタンサラダ

    こんなに贅沢なサラダがあるでしょうか!
    薄切りにしたカンパーニュにクロタンを載せてロースト
    ヴィネグレットソースで和えた野菜にトッピング

    クロタンサラダはフランスに行ったとき何度も食べましたが、かの地では
    量が半端じゃなくすごい!とても一人では食べきれないくらいの野菜に
    クロタンがどーんと載っていました。今日のはちょっとショボくてごめんなさい。

    パンはいつものように宗像堂

    チーズが載っているガラスのお皿はフランスのお土産にいただいたもの
    チーズの形をしているの、可愛い!

    チーズ教室研究科 毎月第4火曜日 11:00~
    単発参加も大歓迎です。


  • AOCシェーブル特集 研究科第5回 前篇

    夏はシェーブル(山羊乳チーズ)が旬です。

    えっ、チーズに旬なんてあったの?と言われそうですが、

    四季の移り変わりにより、その季節を代表するチーズがあるんですよ。

    山羊は1月から春まで出産のシーズンを迎えます。
    ミルクは本来は赤ちゃんのものなのですが、人間がそれを横取りして(表現が悪くてすみません)シェーブルを作ります。

    お母さん山羊がおっぱいを出す春から秋にかけてがシェーブルの旬です。

    でも、現在では
    出産調整をしたり冷凍乳を使って1年中作られているものが多く旬の感覚が薄れているのはどの食材にもいえることですね。

    フランスAOCシェーブルは
    冷凍乳の使用を禁止しているものが多く本来の旬を味わうことができます。

    シェーブルの特徴は

    1. 乳量が牛の10分の1

    牛乳と山羊乳では搾乳量が大きく違います。
    牛は1頭当たり1日に20~40? それに対して山羊は最大でもたった2? 少ない乳量で作るためコストがかかります。
    牛乳製に比べ割高感があるのはそのためです。
    シェーブルは希少なチーズなんですよ。

    2. ゴーティーフレーバー(山羊臭)

    シェーブルの味わいの最大の特徴はゴーティーフレーバーにあります。
    獣臭とか牧場の藁の臭いとかいろいろ表現はありますがシェーブルの嫌いな人はこの臭いが受け入れ難いのだと思います。

    でも、人間って不思議なもので臭いものに惹かれるものなんです。
    最初は嫌いだったこの臭いも慣れてくるとだんだんよくなってやみつきになってしまいます。

    私がチーズ&ワインアカデミー東京でチーズを学んでいた頃、最初はシェーブルが苦手でした。
    ある時、10種類以上のシェーブルだけが登場した講義があって、もう、その時は倒れそうになりましたよ。

    この香りは脂肪が分解されて脂肪酸になりさらに分解されてできる遊離脂肪酸(カプロン酸やカプリン酸)に由来します。
    ちなみに、泡盛の古酒にもこのカプロン酸やカプリン酸があり、泡盛に造詣の深かった琉球王家の尚順男爵の「鷺泉随筆」に優良な古酒の香りとして「オスの山羊の香り」を挙げています。
    だから、シェーブルと泡盛はベストマリアージュ!!

    3. 爽やかな酸味

    シェーブルの味わいのもう一つの特徴がこれ。
    山羊乳は牛乳と違ってレンネット(凝乳酵素)が効きにくいたんぱく質の構造になっており、乳酸発酵主体のため、
    酸味がありテクスチャーが柔らかく独特のキメを作り出しています。

    沖縄生まれで沖縄育ちの私ですが、沖縄が誇る山羊汁が苦手です。(ごめんなさい)
    でも、シェーブルは大好き!何故なら、あの爽やかな酸味とナッツのようなコクが楽しめるから。
    これって、山羊汁にはない味わいですよね。

    4. バラエティ豊か

    シェーブルは乳量が少ないので大型のチーズは作れません。
    小型、もしくは手のひらサイズの可愛いものが一般的です。
    形も様々で、丸太、ピラミッド、樽栓形、灰まぶし、ハーブをまとったもの、栗の葉包み、フレッシュタイプから熟成したものなどなど。
    若いシェーブルはヨーグルトのような酸味があり、熟成したものは酸味が穏やかになりナッツのようなコクと一体になって素晴らしいバランスを作り出します。

    5. ダイエット効果

    食品業界では
    「ダイエット効果がありますよ」と言わなければ売れ筋にならないという風潮があります。

    チーズを食べたら痩せるとか美容によいとか、そんな風にチーズを宣伝したくはないです。
    おいしいから食べてほしい!

    でも、実際には
    マイナスイメージのチーズを正しくお伝えするためにこれも言わなければ。

    山羊乳は牛乳に比べて
    脂肪球や蛋白質のカゼインミセルが極小なため消化吸収に優れています。

    人乳に近いため
    おっぱいの出ないお母さんの代替乳としても利用されます。

    ここで、ちょっと脱線
    終戦後、極端に栄養状態が悪かった沖縄の子供たちを救おうとアメリカのボランティア団体から山羊が贈られました。
    山羊乳が人間の母乳に近いと知っていたのですね。
    でも、
    哀れ、その山羊たちは子供たちにミルクを供給することなく大人の胃袋に収まってしまった。
    その山羊の末裔は 1頭も残っていないそうです。
    ヒージャージョーグー(山羊好き)のウチナーンチュならではのエピソードです。

    ダイエット効果で最近注目を集めている
    中鎖脂肪酸は植物油に多く含まれています。
    中鎖脂肪酸はすばやく分解されエネルギーに変換されるため体脂肪になりにくいといわれています。
    山羊乳には中鎖脂肪酸が200㏄中2g存在しますのでダイエット効果が期待できるということです。

    ここまで読んでくださってありがとうございます。
    続きはまたあとで。