• DOPチーズ特集 研究科第8回 Ⅳ

    5. サンシモン・ダコスタ
       産地:スペイン・ガリシア地方 牛乳製
       特徴:円錐形でカバノキでスモークされているチーズです。心地良い燻製の香りと
           完璧な塩味、アフターに苦味を感じます。これはコーヒーと合わせたいですね。

    6. アルスア・ウジョア
       産地:スペイン・ガリシア地方 牛乳製
       特徴:クリーミーで柔らかいのでチーズがとろけてしまいました。
          バターのようなコク。濃いミルクを飲んでいるようです。酸味が少なく脂肪分の
          高い良質の乳は新鮮で甘い牧草を食べているからだそうです。
          カヴァとのマリアージュが素晴らしかった。
          本日のチーズの中ではペコリノトスカーノ・オーロアンティコと人気を二分するほど
          おいしかったです。

    7. ケソ・サモラノ
       産地:スペイン・カスティーリャ・レオン州 羊乳製
       特徴:マンチェゴスタイルとよばれる表皮にマンチェゴのような模様が施されています。
          羊乳の甘い香りが心地良く、しっかりした塩分と甘味、旨味も十分です。
          ネロ・ダヴォーラとの相性が素晴らしかったです。泡盛とも合わせてみたいですね。

    8. ケソ・イボレス
       産地:スペイン・エストレマドゥーラ州 山羊乳製
       特徴:表皮のオレンジがかった色は、地元ベラ産のパプリカ入りだから。とてもスパイシー
          ですが、チーズの甘い香りとかすかなゴーティーフレーヴァーを感じます。

       このイボレスをはじめ、カナリ諸島のパルメロやマホレロなどもパプリカまぶしのものが
       あります。気候的な問題から保存性を重視するためでしょうか。でも、パプリカまぶしに
       すると、繊細な味わいが消されてしまうような気がします。最近は通常の作りのものが
       入手困難な状況なので、少しがっかりしています。
          


  • DOPチーズ特集 研究科第8回 Ⅲ

    それでは、チーズの試食をしましょう。
    今回揃えたのは、イタリアDOPチーズ4種とスペインDOPチーズ4種の計8種という豪華さ♪

    1. クァルティローロ・ロンバルド
      産地:イタリア・ロンバルディア州 牛乳製
      特徴:タレッジオに似ていますが、味わいがとてもさっぱりしているのは脱脂乳で作られる 
          から。今まで食べたものはパサパサの上に味がなく、つまらないチーズだと思って
          いましたが、今日のものは、塩味と酸味のバランスが絶妙で食感もクリーミー。
          こんなにおいしく感じたのは初めてです。チーズって本当に個体差が大きいもの
          ですね。カヴァとのマリアージュが最高でした。

    2. ペコリノ・トスカーノ・オーロ・アンティコ
      産地:イタリア・トスカーナ州 羊乳製
      特徴:長期保存のためオリーブ油を塗って熟成させるチーズなので、見た目がオイリー。
          透明感のある色あいは羊乳チーズの特徴です。石鹸みたいに見えますね。
          酸味、甘味、旨味が渾然一体となり完璧な味わいを作り出しています。
          今日のチーズの中でも一番人気でした。
          カヴァ、ネロ・ダヴォーラ両方のワインとのマリアージュも完璧でした。

    3. プロヴォローネ・ヴァルパダーナ
      産地:イタリア・ポー川流域 エミリア・ロマーニャ州 牛乳製
      特徴:糸状にのびる繊維質の生地・パスタフィラータ系のチーズは元々南イタリア生まれ
         でしたが、19世紀後半豊富な牛乳を求めて北部ポー川流域で作り始められました。
         弾力があり酸味・甘味がほどよく、焼いて食べたくなりました。
         これも両方のワインとの相性がよかったです。

    4. ペコリノサルド・フレスコ
      産地:サルデーニャ島 羊乳製
      特徴:ちいさな不定形の気功が存在しています。
          羊乳特有のオイリーな香りと甘いミルクの香り、マイルドな味わいはサンドイッチに
          して食べたいくらい。ペコリノサルドは長期熟成のマトゥーロがあり、文句なしに
          美味しいのですが、このフレスコは若々しくて爽やかでなかなかよいですね。


  • DOPチーズ特集 研究科第8回 Ⅱ

    原産地呼称統制の制度はヨーロッパ各地にあり、今回はイタリア、スペイン、ポルトガルの
    チーズについてお勉強しました。

    フランスでAOCと表されるこの制度は、イタリア、スペイン、ポルトガルではDOPと表記されます。

    イタリアのDOP(Denominazione d’Origine Protetta)チーズは33種。
    北部地域のDOPチーズは22種で20種が牛乳製で圧倒的に多く、逆に中南部では11種のDOPチーズのうち
    ペコリーノと呼ばれる羊乳チーズが混乳製を含めると8種製造されています。

    イタリアDOPチーズ生産量第1位はグラナパダーノ、第2位はパルミジャーノ・レッジャーノ、
    第3位はゴルゴンゾーラでいずれもポー川流域で製造されています。

    イタリアを旅行された三原さんのお話によると、イタリアでは自称DOPチーズを名乗る製造者が多く、
    実際の数が把握できないのが現状とか。

    ローマで作った羊乳チーズを「ペコリノロマーノ」と名前を付けて売っていたのを見かけた時、
    どう見てもそれではないので、何故その名前を使うのかと聞いたら、
    「ローマで作っているペコリーノだから当たり前だ」という返事が返ってきたそうです。
    この大らかなところがイタリア人ってウチナーンチュみたいですね(笑)

    フランスのように政府機関の管轄ではなく、其々が独立した保護協会を運営しているので、
    どうしても管理が甘くなってしまうのではないでしょうか。
    統一されたロゴマークがなく、其々のチーズにはそのチーズをデザインしたロゴがあり、
    それはそれで楽しいですね。
    何しろ、イタリアは国家として統一されたのが1870年でまだ141年しか経っていないので、
    国家意識よりも郷土意識が強いのは無理のないことです。

    スペインのDOP(Denominacion de Origen Protegida)は22種。
    イベリア半島の6分の5を占め、三方を海に囲まれているスペインは、地理的には北部、中央部、
    東部・東南部とバレアレス諸島及びカナリアア諸島の3つの地域に分けられます。

    緑のスペインとよばれる北部は、降雨量が多く豊かな牧草に恵まれているため牛乳製のチーズが
    多く生産されています。テティージャや青カビのカブラレスが有名ですね。

    中央部はメセータとよばれる高原地帯で羊の放牧をしながら移動する遊牧民が多く、
    12世紀から19世紀まで羊毛の一大生産地でしたが、化学繊維の発明やオセアニアの台頭で
    羊毛業が衰退の危機に見舞われたことで、遊牧民が定住して羊毛用の羊を乳製品に転用したことから、
    羊乳チーズの生産が飛躍的に増加しました。マンチェゴは今やスペインを代表する羊乳チーズです。

    地中海に面している東部・東南部、バレアレス諸島、カナリア諸島では山羊のチーズが多く製造されています。ムルシア・アルヴィーノ、マホレロなどの素晴らしい山羊乳チーズがあります。

    ポルトガルのDOP(Denominacao de Origen Protegida)チーズは11種。
    ポルトガルはイベリア半島の南西に位置し、アゾーレス諸島、マディラ酒で有名なマディラ群島を含め
    海洋国家として伝統的に漁業が盛んです。酪農も古代から行われており、見た目はとても地味ですが
    滋味深い味わいのチーズが多数作られています。

    乳種は羊乳製が6種、山羊1種、牛乳製2種、混乳製2種で、凝乳酵素に植物性レンネット
    (朝鮮アザミのおしべ)を多く使用するのが大きな特徴です。少し苦味のある味わいがその証ですね。
    ケイジョ・セーラ・ダ・エストラーダが植物性レンネットを使ったチーズの代表です。

    これはカルドとよばれる朝鮮アザミのおしべを乾燥させたもの。これに水を加えて漬けこみ
    凝固剤を抽出して使います。 東京のチーズショップ・アルパージュの森さんから
    スペインのお土産にいただいたものです。

    三原さんの卒論は、生姜で凝乳酵素を作るがテーマだったそうです。
    色々な植物で試したところ、最終的に生姜に行きついたということだそうですが、一般的には
    植物の酵素はかなりの苦味成分が出てしまうために、チーズ製造には不向きのようです。

    冒頭でもお話しましたように、ポルトガルチーズは現在入手がほとんど不可能なので試食することは
    叶わなかったのですが、数年前に食べた記憶では、地味ながら噛みしめるほどに深い味わいで、
    こんなチーズに魅かれるのは年を重ねたせいもあるのかしらん。